面白さと可能性を感じさせ、
制作に向かわせたのはドイツ某メーカー9Hの鉛筆。
使い始めから小指の先ぐらいになるまで
同じ硬さの9Hであり続ける鉛筆が思いのほか少ないなかで、
このメーカーの9Hはその硬質さを保ち続ける。
それはまさにマイスターの矜持と熱意が生んだ名品であり、
削りたての硬質な芯からは、描くというよりも、
刻むといった実感が生まれ、
コットンの織り込まれた厚手の紙と出会うことで、
コツコツと作務のごとくに時間(トキ)をも織り込んでいくことを可能にする。
果ては、そのモノローグが立ち上がって、
外の世界に通じる出入り口になるのであればよいのだけれど。 〈板橋雅則:画工(無所属)〉
展示風景
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