小島顕一展 

2012年3月3日(土)~3月18日(日)


1940年、フランスの南西部、モンティニャックで、子供たちが嵐の後に薙ぎ倒された大木の根元のそれに続く洞窟内に、
ほぼ2万年もの間、大気に触れることなく眠り続けていた洞窟壁画を発見した。
それは、旧石器時代後期に生きたラスコー人たちからの贈り物であり、
私たちに残された美術によるメッセージであった。

ジョルジュ・バタイユは、その壁画を目の当たりにして、「動いている!」と感嘆の声を上げ、
「人間」と美術の起源について、「ラスコーの壁画」という美しい著作を残した。
この本は、私たちが美術を考える時、
くり返し立ち返らなければならない問題を提起している。

そして2011311日以後、私たちは考え続けている。
半減期が2万年以上かかる放射性物質のことや、
人間にとって決して親和的でない自然の現象。
天然自然からも、
そして第2の自然ともいえる産業社会の実態と論理からも疎外されていると感じる時代感について
個の時間を超えて、流れ続けている歴史的時間を考える時、
2万年後の子供たちが偶然掘り出したものが
、私たち現代人が残した「核のゴミ」だったということでは、あまりにも虚しい。
私は、3.11以後、自分が美術をすることの意味について再考している。                          
              〈小島顕一〉

展示風景
     
 
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