学生時代に油彩画の技法を学び、油絵を描いていたが、今から20年ほど前、子供たちの絵が気にかかりやけに惹かれた時期があった。 そんな折にたまたま美術館の子供のための美術ワークショップの講師を頼まれたり、その後知的障害を持つ子供たちの美術教室などをやってきた。 なぜ美術をやりながら子供や障害を持つ人たちと関わってきたのか、今となって考えてみれば、それらの人たちの自由で素朴な型に収まらない多様な個性に感心してのことではなく、その自らの感覚だけをたよりに、新鮮な好奇心と冒険心だけで素材を手に取り絵に向かう「天性の親和力」に対して、自分が絵を描く時とはまったく異なる感覚を感じたからかもしれない。 学校で美術を学んで以来、美術家として私は今までも様々な素材を試み絵を続けているが、子供たちが持っているほどの素材と感覚の心底からの親和性を感じることは稀なことだ。 そんな親和と違和の間で私の絵画の試みは行われている。 その試みが決して成功しているとは思っていないが、その違和感の奥底に自分が長い時間「絵画」を続けることにこだわってきたのか、その答えがあるように思える。 〈小島顕一〉
今回の小島顕一展は、「ぎゃらりー由芽」と「ぎゃらりー由芽のつづき」の2会場を使っての発表となります。 「ぎゃらりー由芽」では、近作を展示 「ぎゃらりー由芽のつづき」では、今まで展示できなかった大きな作品(F200号など)と以前の作品の代表作をピックアップして展示します。 |